1人事務所へのこだわり

開業への想い

1人税理士事務所

当事務所は、所長税理士1人で運営するいわゆる1人税理士事務所です。

一般的な税理士事務所は、規模が拡大するにつれて税理士以外の職員を雇用し、作業を指示しながら業務に取り組んでいきます。
全ての業務を税理士のみでこなすことは現実的に困難なため、当然のことと思います。

ただ、私は出来る限り、1人事務所を継続したいという想いがあります

中小企業や個人事業主の税務支援・会計支援という点に限っていえば、1人事務所の方が望ましいと感じているためです。

組織のメリット・デメリット

私は、もともと大きな組織に勤務していました。

様々な業種の上場企業・大企業がお客様でしたので、チーム単位で案件に取り組むことが必須でした。
1人では対応困難な案件が大半であるため、個人事務所では得られない経験を積むことができ、大組織ならではのメリットであったと今でも感じています。

一方で、次のようなデメリットも感じていました。

提供するサービスが一定ではない

複数の担当者で作業を分担しながら業務に取り組む場合、どうしても担当者によって成果にバラつきがでます

結果として、仮に同じ報酬を支払っているお客様であっても、受けられるサービスの質は担当者の能力に左右される傾向があると感じます。

これは税務・会計に限らず、経営者の皆様も組織を運営するうえで感じることだと思います。

事業理解が浅くなる

税務業務・会計業務で最も重要なことは、お客様の事業を深く理解することだと思います。

そして事業を深く理解するためには、お客様の話に耳を傾け、自ら手を動かすことが必要だと考えます。

しかし、チーム単位で業務に取り組んでいるとどうしても、担当者は自らの作業のみに注力し、責任者は全体を広く浅くチェックすることのみに注力してしまう傾向があると感じます。

結果として、長年お客様に関わっているのに事業全体を深く理解している担当者が誰もいない、という状態になることも珍しくありません。

知識・経験を積み重ねてくると、最終的にはどれだけお客様の事業を理解しているかで差が出ると感じました。

責任感が希薄になる

組織に勤めておられた方なら誰もが経験すると思いますが、自分自身が行っていないミスでお客様に謝罪する場面も少なくないと思います。

このとき、誠意をもって謝罪したとしても、お客様の側からすれば割り切れないこと、納得できないことも少なくないだろうなと感じていました

誰しも自分自身の仕事に責任感をもって取り組んでいると思いますが、組織としての責任感は希薄になりがちな傾向があると感じます。

これは、経営者と従業員の責任感の差であるかもしれません。

1人税理士事務所のメリット
  • 提供するサービスの品質が一定
  • お客様の事業をしっかりと理解できる
  • 責任感を持った対応ができる

これらのデメリットは、お客様が大企業であれば、問題になることは少ないと思います。

大企業は内部統制がしっかりしているためミスが生じにくい、ということもありますが、最大の理由は、大企業は所有と経営が分離している(株主と経営者が異なる)からのように感じます。

世間を揺るがすようなミスでない限り株主を巻き込んだ問題に発展することは珍しいですし、現場レベルのミスであれば自社の従業員と他社の従業員の間で解決することも多いかと思います。

中小企業・個人事業主の場合

しかしながら、中小企業や個人事業主の場合は、これらのデメリットがそのまま問題に直結するように思います。

お客様は株主であり経営者です
問題が起きた場合
そのままご自身の損害に直結します

そのため、大企業同士とは違う関わり方が求められるように感じます。

以上のような理由から、中小企業や個人事業主の税務支援・会計支援という点でいえば、1人事務所の方が望ましいと感じています。

もちろん、税理士業界の構造として1人事務所での運営は限界があることも理解していますので、どこまで続けられるか分かりませんが、可能な限り1人事務所にこだわりたいと考えています。


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