私は2023年の宅地建物取引士試験に合格したのですが、ぜひおすすめしたい資格ですので、受験した経緯や合格までの流れ、試験の概要などについて簡単にご紹介したいと思います。
合格までの流れ
受験したきっかけ
宅地建物取引士に興味をもったのは、次の2つがきっかけでした。
- お客様に宅地建物取引業者がいらっしゃったこと
- 土地・建物に関する理解を深めたかったこと
税理士にとって土地・建物の知識は相続税の財産評価に必要不可欠です。
とはいえ、税理士業務に必須の資格ではないため、最初は試験内容について知っておこうという程度の軽い気持ちでした。
すると、調べた時期がたまたま試験申込期間(7月頃)であったため、そのまま申し込んでみることにしました。
受験するかはさておき、まずは申し込んで期限を意識してみよう、という感覚でした。
勉強期間・勉強法
試験に申し込んだものの、仕事に追われて勉強する時間が全く取れず、初めて教材を開いたのが試験1週間前でした。。
教材は選ぶ時間もなかったためAmazonで一番売れていたテキスト・問題集を購入のうえ、まずはテキストを分野ごとに読み、並行して問題集の該当する部分を読んでいきました。
ここで「問題集を読んだ」と表現しているのは、そもそも暗記が出来ておらず「問題集を解く」レベルではなかったため、「問題と解答を同時に読んでいた」という意味になります。
暗記が出来ていないのに問題集を読む目的は「テキストのどこが問われるのか」「どのような問われ方をするのか」を把握することでした。
テキストは網羅的に情報が記載されていますが、問われやすいところは限られているため、問題を読みながら確認するのが効率的だと思います。
しかし相変わらず仕事の合間に読み進めていたため勉強時間が取れず、テキストと問題集を1回読み切った頃には試験3日前になっていました。
本来であればここからテキストを本格的に暗記したうえで問題集にじっくり取り組みたかったのですが、問題集には313問収録されており、仮に1問2分で解くと約10時間半(313問×2分=626分)かかる計算になるため、もはや問題集に取り組む時間はないと判断しました。
そして、試験までの残り3日間はひたすらテキストの暗記に徹することにしました。
問題集を1回読んでいたことで、テキストの暗記すべき箇所が頭に入っていたので、強弱をつけて暗記することができました。
しかしながら、やはり時間がなく、テキストを3周したところで試験当日となりました。
試験当日
宅建試験はマークシート式の2時間制です。
問題数は50問で合格基準点は35点ですが、相対評価の試験ですので、その年の難易度によって合格点は変動します。
過去10年の合格点は31~38点でした。
いざ試験が始まったものの、初めて問題を解いたので時間配分が分からず、前半で時間を使いすぎて焦りました。
後から知ったのですが、前半の民法は時間がかかるうえに得点しづらいため、慣れている人は後半から解くそうです、、、
試験後すぐに解答速報が公表されていたので自己採点したところ、問題演習をしていなかったことで簡単な問題をぽろぽろ落としてしまい、結果は36点/50点でした。
合格発表
合格発表で公表された合格点は36点で、運良く最低点で合格することが出来ました。
土地・建物に関する理解を深めるという目的はある程度達成されていたので、仮に不合格でも翌年受けるつもりはなかったため、今回合格できて運が良かったです。。
試験の概要
合格までの流れは以上ですが、私と同様に軽い気持ちで宅建を受けてみたいと思われる方に向けて、簡単に試験の概要をご紹介いたします。
前提として、私も合格して初めて知ったのですが、宅建は全ての試験で受験者数がトップ10に入るほど大規模な試験です。
1位が運転免許試験なのでかなりの規模だと思います。
そのため、他の資格試験と比較すると情報が手に入りやすいと感じます。
予備校講師から一般の方まで数多くの方が情報を発信しており、内容も非常に詳細です。
ですので、ここであまり細かい内容に踏み込んでも意味がないと思いますので、知っておくと勉強が始めやすいと思われる点に絞ってご紹介します。
試験制度
- 年に1回の実施で申込み期間は7月頃です。
- 試験は10月頃に行われ合格発表まで1ヶ月程度です。
- 受験資格はありませんので小学生でも受験可能です。
実際に私が受験した会場にも小学生らしき男の子がいました。
試験内容
繰り返しになりますが、マークシート式の2時間制です。
問題数は50問で合格基準点は35点ですが、相対評価の試験ですので、その年の難易度によって合格点は変動します。
過去10年の合格点は31~38点でした。
なお、実務経験のある方は50問のうち5問が免除されます。
例えば合格点が35点/50点(70%)の年であれば、免除者の合格点は30点/45点(66%)になるようです。
得点率だけ見るとそれほど優遇されていないように見えますが、2023年は一般受験者の合格率が17.2%、免除者の合格率が24.1%でした。
試験範囲
どのような試験を受けるにしても、まずは試験範囲を知ることが重要だと思います。
ネット情報で把握するのも良いですが、個人的にはテキストの目次を見るのが効率的だと感じます。
ページ数・問題数を見れば分野ごとの学習量も把握できます。
私の使用したテキストの目次をもとに、試験での出題数とあわせて表にしてみましたので、ご参考ください。
分野 | テキスト ページ数 | 問題集 収録数 | 本試験 出題数 | 内容 |
---|---|---|---|---|
宅建業法 | 158 | 109問 | 20問 | 宅建士への規制が出題されます。出題数が最も多く点が取りやすいので、優先的に取り組むべき分野です。 |
権利関係 | 228 | 95問 | 14問 | 土地・建物の権利を保護する法律として、主に民法・借地借家法が出題されます。宅建業法より出題数が少ないにも関わらずテキストのページ数が多いことからも分かるように、問題文が長文である傾向が強く、比例して学習時間がかかります。 そのうえ点が取りにくいため(特に民法)、ある程度のレベルまで仕上げたらやりすぎない方がよいと思います。ただ、多くの受験者は民法の出来で合否が分かれているようですので、力の入れ方が難しい分野です。 |
法令上の制限 | 125 | 63問 | 8問 | 都市計画法・建築基準法など土地・建物を取り巻く規制を扱います。個人的には1番役に立つ知識でした。暗記が点数に反映されやすいので、宅建業法に次いでしっかりと取り組むべき分野です。 |
税・その他 | 68 | 46問 | 8問 | 土地・建物を取り巻くその他の規制が広く浅く問われます。比較的点数が取りやすいので、法令上の制限の次に力を入れるべき分野です。 |
合計 | 579 | 313問 | 50問 | ※ テキストには他に参考編が33ページありました(計612ページ)。 |
教材
宅建試験は、教材が選びやすい試験だと感じました。
会計士試験・税理士試験などは科目ごとの分量が多いため、そもそも市販の教材が少なかったり(予備校に通わないと手に入らなかったり)、科目ごとに相性の良し悪しで悩むことがよくあります。
例えば、簿記はA予備校の教材と相性が良いけど、税法はB予備校の教材の方が相性が良さそうということが頻繁にあります。
この点、宅建試験は市販の教材が多く、かつテキスト・問題集を1冊ずつ選べば良いので、教材選びに時間を使わずに済みます。
テキスト・問題集は同じ著者のものを選ぶと思いますので、実質的に1つ選べば良いことになります。
宅建試験に限って言えば「多く売れている」「その本で合格している方が多数いる」ような教材を選べば、教材で差がつくことは少ないように思います。
ですので、私は深く考えずAmazonで1番売れていたこちらの教材を購入しました。
しっかりやりこめば40点取れる内容になっていると感じます。レイアウトも暗記に配慮したものとなっており、おすすめです。
まとめ
土地・建物は
日常生活と密接に関わりがあります
不動産の賃借は多くの方が経験するでしょう
そして人生の節目には
不動産の購入を検討する場面がやってきます
そんなとき
宅建の知識を持っていれば
適切な判断がしやすくなるはずです
今はまだ不動産に関わりがないという方も
ぜひ受験をおすすめしたい
有益な資格です
本記事で少しでも宅建に興味をもっていただけたら
嬉しく思います