本記事では、電子取引の保存義務・提出方法についてご案内いたします。
電子取引の保存義務
現代社会では、領収書・請求書もメールに添付されたり、Webで閲覧する形式が多いと思います。
従来までは、印刷して紙資料として保存しておけば大丈夫だったのですが、2024年1月に電帳法(電子帳簿保存法)が完全義務化されたことで、電子取引に関する資料としてダウンロード保存しておくことが強制化されました。
税務署が税務調査をやりやすくすることしかメリットがない法律です。。
電帳法のルール
電帳法の内容は非常に複雑ですが、簡単に要約すると次のようなものです。
電帳法ルール | 電子データでやりとりした取引書類は、全て電子的に保存する。 保存データは、取引先・取引年月日ごとに整理する。 |
ポイント | 見積書・請求書・領収書など、Webやメールで受信又は送信したあらゆる書類は全て電子的に保存する義務がある。 |
メールが領収書の代わりになっている場合は、メール自体を保存しなければなりません。。
さらに、売上5,000万円を超える事業者は次のルールも強制されます。
保存した電子データは、次のように検索できるようにしなければならない。
- 取引年月日・取引金額・取引先で検索できる
- 日付または金額を範囲指定して検索できる
- 複数の検索項目を組み合わせて検索できる
検索できるようにするには、例えば「ファイル名」「取引年月日」「取引金額」「取引先」を一覧化したExcelを作成する方法があります。
税務署が検索しやすいようにわざわざ表を作るのです。。
売上5,000万円を超える事業者は、消費税も簡易課税が使えないので、さらにインボイス対応が大変なことになります。
相手先がインボイスに登録しているか、消費税率は10%か8%かを領収書・請求書からひとつひとつ確認する必要があるのです。。
電帳法への対応
具体的にどのように電帳法に対応するかですが、売上5,000万円以下の事業者に限って言えば、まずは電子データをダウンロードして、取引先ごとにフォルダに保存しておくことを優先しましょう。
例えば、以下のようなイメージです。
年度ごとにフォルダを分けると手間が増えてしまうので、複数年分を1つのフォルダにまとめて格納するのがおすすめです。例えば、2024年1月以降のA社からの請求書PDFを全てA社フォルダに格納してしまうイメージです。
会社ごとにPDFのダウンロード期限がありますので、遅くとも確定申告までにはダウンロード保存しておくように心がけるのも大切です。
フォルダに格納したら、それぞれのファイル名を日付に直します。例えば、以下のようなイメージです。
取引年月日ごとに整理する義務に対応するためです。。。
ただ、さすがに全てのファイル名を日付に直すのは時間がかかりすぎます。。
ですので、最低限の対応として、取引先ごとにフォルダを分けてダウンロードさえしておけば、税務署も指摘しづらいと思います。
このあたりは税務署も対応に悩んでいるところと思いますので、情報が入り次第、お知らせいたします。
電子取引の提出方法
電子取引の保存義務を踏まえて、当事務所へ資料提出いただく際も、PDFで提出できるものはPDFでご提出いただいて大丈夫です。
共有フォルダに紙資料と同じ分類でフォルダを作成いたしますので保存と提出を兼ねて整理していくのもおすすめです。
インボイス制度・電子帳簿保存法をはじめ、昨今は納税者を無視した制度改正(改悪?)が目立ちますが、可能な範囲で協力して乗り切って参りましょう。
当事務所へ申告資料をご提出いただく流れをご案内しております。